ロッテリアの2階席で路上を走るバイクや通行人なんかを見ながらコーヒーを飲む。Hはコーラを飲みながら何か考えている様子。


SHが中古でも買えない事を悟り、考えを巡らせているのか、はたまた今後も続く足なしの生活の事を考えているのだろうか。


考えて見ればHも相当バカだ。所詮バイク、いや電動バイクすら自分では買うことが出来ないのに、みすみす買って貰うチャンスを逃しているのだ。SHに乗りたいと言うsevenから見れば単なるエゴだけで。


計り知れないHの性格を理解しようといくら噛み砕いてみても、答えが出ない。


そんなお互い別々の事を考えて、ボーッと無言のまま時間が経過する。時間は既に午後4時を過ぎていた。



H「買い物がしたいの。マーケットへ行ってもいいですか?」



突然の言葉と敬語を使うHに少しばかり心にすきま風が吹くseven。その敬語が二人の距離がグッと離れていくように感じられた。


タクシーに乗り込み、行きつけのマーケットに向かう。ここは高校生や大学生達が集まる日本で言えば原宿みたいなイメージの場所。


若者向けの洋服や雑貨が安く売られていて物凄い人の数。ここでHは洋服や靴なんかを調達している。


大体高くても1500円くらい。セール品だと200円とか300円とかでも服や靴、下着類なども売っている。


サトウキビを搾ったジュース屋や、焼き鳥みたいな網焼の串物を売る屋台、フォーやブンチャなどの麺類を出す店なんかもあり、活気に満ちている。


大抵ここで5000円分くらいの買い物をしてsevenが支払う。週末は大体そんなパターン。


恐らく最後の買い物だろうな。彼女もこれが最後とばかりにsevenに買い物させているのかも知れない。


バイクと比べたら安いもんだし、今まで楽しませてくれた恩としても支払いに戸惑いはなかった。


いつものようにHはsevenの腕を組み頭をすり寄せて周りの目も気にせずベタベタとしてくる。



ヤバイ・・・可愛い・・・



感情が掻き乱れ出す。さっきの敬語は何だったのか。俺はもう彼女を切ると決めたのに、なんだこの未練がましい感情の流れは・・・



あらかた買い物も終わり、大通りに出てタクシーを拾う。いつものように財布を渡し、予算上限を伝えて自由に買わせている事もあって、今日は何を買ってやったのかも思い出せないくらい頭の中は混乱していた。



Hを切るのは間違いなのか?いや、こんなのは切るべき。みたいな葛藤が始まる。


そして夜6時過ぎにHの店に近い日本料理店に入り、早めの夕食となる。個室が上手いこと取れた。


個室に入るとさっさと注文を済ませ、Hはマーケットで買った戦利品を出して身体に当ててsevenの感想を求めたり、買った靴のデザインについて熱く語ったりしている。



はぁ・・・可愛いよなぁ・・・



Hはいつもと変わらない。カオザイの街を出た以降、バイクの話にも一切触れて来ない。ふと、このままHと関係を続けても良いんじゃないか?みたいな気持ちがよぎり出す。


ビールを飲みながら、あれこれ語ってくるHに頷きながらsevenの頭は答えの出ないジレンマに落ち込んでいた。あれほど答えは決めたはずなのに・・・


夕食の支払いを済ませ、店に歩いて同伴する。予定通り今日を最後にするのか、それとも・・・



おっさんの心はウブな高校生のように揺れ続けるのであった。



つづく