シャワーを簡単に浴びた後、荷物を纏めてチェックアウトの準備を始める。一泊なのでリュックサック一つでやって来た。直ぐに準備が整う。




忘れ物は無いか部屋を見渡し、ゴミ箱を除く。中には昨日使ったコンドームとティッシュが無造作に放り込まれていた。




う・・思い出してまた泣けてきた・・・




ここである事に気付く。




さ、財布とパスポートが無い・・・




ぉぃぉぃ・・・や、やばい・・・




腕時計を見る。フライトまであと3時間。部屋中をもう一度探す。ベットの下、風呂場、机の引き出しなんか開けても無いのに確認してみる。




無いよ・・無いよぉぉぉおおおお・・・




落ち着け!よく思い出せ!




昨日の夜、店で金払ってんだから財布はその時点であっただろ。んで、その後ホテルに帰ったんだからあるとしたら歩いていて落とした?




パスポートと財布はいつも右の前ポケットに入れてるよな。尻ポケットならいざ知らず前ポケットから落ちるとかは流石にないだろ。




とりあえず、店で支払った後に直ぐに落としたかも知れないから聞きに行ってみるか・・・




昨日の黒髪デブが脳裏に浮かんでくる。




う・・行きたくねぇぇえええ・・・




荷物を部屋に置いて小走りで昨日の店に行く。歳なのでダッシュは出来ない。つうかダッシュのつもりでも人が見たら小走りだ。




そして店に着くと幸い、昨日の黒髪デブは居なかった。ホッとしながら黒いポロシャツを着た細身のウエイトレスに声をかけようと扉を開ける。




今日のウエイトレスは細い割に胸がでかいし、顔も可愛いやんか!イーサン系か!キリッとした顔立ちがgoodやんけっーー!




つうか、今そんな事言ってる場合じゃないわ・・・




「ハァ、昨日の夜、ハァ、財布とパスポートのハァ・・落し物ハァ、ハァ・・ありませんでしたか?ハァハァ・・・」




息を切らしながら汗だくで拙い英語を駆使しながら話しかける。ウエイトレスはこちらの会話が終わるか終わらないかのタイミングで答える。




「ノー」




おい、即答かいな・・・そらキモオタデブの俺がハァハァ言いながら汗だくで話しかけてきたら少しは引くのだろうが、そのあからさまな不快顔はないだろー・・・




首を振りながら白け顔で答えるそれはまさにツンデレ。今日帰国じゃ無かったなら絶対デレさせてやるわ、マジで。




いやいや、今そんな事を考えてる場合じゃねえ!これからの俺の人生に関わるんや・・・




「い、いや、昨日この店で財布とパス・・」




「ノーッ!」




くぅ・・・




まぁダメ元なのはわかっちゃいたけど・・・




詰んだ・・・俺詰んだよ・・・ママン




トボトボとホテルに向かって歩き出す。足取りが重い。どうすりゃいいのか。パスポートだけでもあればなんとかなったような気もするが、空港行く金とかはどうすれば・・・




ふふ、ふふふ・・・変な笑みがこぼれてくる。これがナチュラルハイと言うヤツか。徹マンとかで時々起きる現象・・・久々だわ・・・




昨日からのダメージ続きで心が壊れてきているのだろうか。はたまた、考えすぎて思考がストップしているのか。意味不明な笑いがやがて、大声で笑いながら歩く自分がそこに居た。




「ははははっひっひ、ふふふぁっはっはっ」




その時、急に足が止まる。ルアムチットプラザの前だ。確かここで・・・




走馬灯のように昨日の出来事が脳内再生される。




確か背が高くてでかい女に腕掴まれて・・・




直ぐに後ろから抱きつかれて・・・




尻とか腰の辺り触られて・・・




俺が怒って手を振りほどいて・・・




ん?尻とか腰の辺り触られたよな・・・




アアアアッーー!




あ、あのカマ(アマ)ぁぁあ!




俺、オワタ・・・