ソイ23の入り口にあるカフェからボケーっとしながら通行人を眺める。




腹減ったな・・・




チビチビと飲んでいるつもりだった水も、あと一口飲んだら無くなってしまうくらいになっていた。




夕方近くになり、日陰だったこの場所にも日が差し込み出す。




そろそろ場所変えるか・・・




建屋内にあるトイレに入って用を足しながら次の行き先を考える。金無いし、どうしたらいいんだろ。まずは金の工面が先か。




トイレを出て陣取った席に戻ると、テーブルも椅子も灰皿も綺麗に片付いている。




ちょwwww俺のリュックは???




・・しまった・・やってもうたよ・・・




屋内にいる店員に確認する。彼女は席を見たら人も居ないし、物も無いので片付けをしたと言っている。




辺りを見渡すが、俺のリュックを持ってる人なんかいるわけが無かった。




リュックには下着類やソーイングセットなんかと、wifi専用のipadが入っていた。つうかipad使えば日本と連絡が取れたやんか・・・




モゥ駄目・・・全てが悪循環のスパイラルにハマってる。




今あるのはポケットの中の90パーツとタバコ。あとは腕時計、何か売れるものと言えば、買ったばかりのVansの靴くらいか。




リュックも失い、手ぶらになってしまった。




思わず両腕をクロスさせて胸に当てながら




「手ブラ!!」




なんて言ってみたが、周囲からはなんの反応も無い。




店員の女の子は心配そうな面持ちで俺を見ている。俺は敢えて「大丈夫」とばかりに軽く手を挙げて軽い足取りで店を後にした。日本男児として、最後のプライドだったのだ。




俺・・・ここで死ぬのかな・・・




そんな弱気が心の大半を占める。まずは明日まで生き抜く金を工面しなければ。最悪、大使館まで徒歩で行けば、今ある90パーツは使える金のはず。




でも、腹も減ったし、特に喉がカラカラでヤバイ。少なくとも水分は補給しないと命に関わる。




先ずは腕時計を売るしかない。海上自衛隊仕様の限定レプリカモデルなのだが、ネット先行予約で1万円で買ったもの。




このモデルは多少プレミアムが付いているのは知っているが、タイで海上自衛隊ってもな・・・ニーズあるとは思えないし・・・




ここらで時計売るって言えばMBK辺りか。出来るだけ歩いて向かって最悪BTSで行けばいい。そんな考えてMBKを目指す事にした。




アソーク方面に向かってスクンビット通りをテクテクと歩み出す。BTSの高架沿いを歩けばなんとかなるだろう。




因縁のルアムチットプラザ前に近づく。遠目に見える立ちんぼ。バス停の前でウロウロしている。黒髪ロングでイキッた肩。異様に背が高くて肩幅も広い。




なんか昨日のカマに似てるな・・・




自然と足早になる。段々と近くなり、彼女の輪郭がハッキリしだす。間違いない・・・あのニューカマーだ。




「おい!テメェえええ!」




ヤツに向かってダッシュする。勿論、人が見たら只の小走りだが。




ニューカマーはこちらを見てハッとした顔をする。と、同時にナナ方面にダッシュした。




「ちょ、待って!待てって・・・おーい、待ってください・・・頼む・・頼むから・・・綺麗なお姉さぁぁああん・・・」




走る時の手と膝を挙げるフォームが余りにも美しい。正にアスリート、いや、「女豹」と言うべきか。




自分との距離がグングン広がり、突然右の路地に消えた。




もう追いかける体力も気力も失い、いつしか歩きに戻っている自分。大きな息と、大量の汗でシャツはベトベトになっている。




この俺を巻くとは・・・あいつ・・・中々やるな・・・




妙な感心をしながらナナ駅の階段を登る。そしてBTSでMBKへ向かうのであった。




なるべく歩いて行くはずが・・・使えねーわ、俺・・・




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