お経のような低く野太い声。瞼の隙間からロウソクの灯りのような暖かみのある光が薄く入ってくる。




自然と目が開いた。自分はさっきの路地に寝転んでいる。しかし、周りは暗く、タニヤ通りから聞こえる喧騒は皆無。そのかわり目の前の路上には無数のロウソクが火を灯しながら立っている。




女性らしき声がする。丁度寝転んでいる頭上側からだ。




「起きたみたいよ・・・」




「へぇー、可愛い顔してるね」




このおっさんを見て可愛いとか言いますか。起き上がってそちらを振り向く。




ちょうど2メートルくらい先に2人の女性の姿が見える。座ってこちらを覗いていた。不思議なことにタイの民族衣装と言うか、キンキラの服装。タイ舞踊ショーで見た事のあるアレだ。




その2人の奥側にはタニヤ通りがあるはずなのだが、何故か真っ暗闇で何も無いように見える。




不思議な香の香りと何処からか聞こえるお経?みたいな声。反対側の道路もロウソクの灯りより奥は真っ暗闇だった。




俺は状況が掴めず、キョトンとした顔で2人の女性を見つめていた。彼女達は化粧をしていたが若いことは何となくわかる。恐らく15〜16歳位の美少女だ。顔は白いが首からは少し浅黒い。




向かって右側の子が話し出す。




「あなたは優しいですか?」




「は、はい?」




「誰にでも優しくできる方なのですか?」




「え・・・えと・・・」




何言ってるんだこの子達・・・つうか日本語話せるの??




女の子同士で何か話し出す。




「ね、この人違うんじゃ無いの?」




「ううん、この人そうだよ」




「でもパッとしないし・・・変くない?」




おぃおぃ、なに可愛い顔して厳しい事言ってんのwwさっきあんたでしょ、俺の寝顔が可愛いとか言ったのww




「私ずっとこの人見てたんだよね、タンブンに来た時からずっと見てたんだ」




再び俺を見る。




「あなた、意識がこちら側に来ちゃってるんですよ、わかります?」




「こちら側って?何処ですか?」




「はっきり言いますと、あなたは死にました。あ、正確には身体活動が停止した瞬間が今です」




「へ?・・・・嘘だぁwww」




「あんた、後ろを見てみなさいよ」




さっきから失礼な事を言う左側の子がぶっきらぼうに話しかけてくる。後ろを振り返る。




俺が真後ろで寝てる。つうか寝てる頭が俺の座ってる腰と重なって肩口あたりから寝たままになって見える。




「うわっ」




マジ腰抜けた。俺が俺から抜け出てる?みたいな。




「あんた、このままだと本当にこっちの住人になるよ?」




「だからあなたに伺っているのです」




「は、はぁ・・・」




「あなたは誰にでも優しくなれますか?」




「優しく?ま、両親や親戚から、お前は本当に優しい子だとか言われた事有りますけど」




「プッwうわっ、自画自賛してる。キモッ」




(こ、このクソガキ・・・・)




「私はあなたをずっと見てきました。タンブンに来たその日から。貴方は優しい方です。どんな人も愛せる心が有ります」




「はぁ、ありがとうございます・・・」




「貴方にお願いがあるのです。ここにいる、不幸せな人を幸せな気持ちにさせてあげて下さい」




「性的にじゃ無いのよ?わかる?」




(くっ・・・・)




「要するに生き返る事が出来るんですか?」




「そうなりますね」




「お願いします!まだ死にたく無いです」




「でも運命に逆らうのですから、代償は有ります。これから出会うどんな人も幸せにしなければならないのです」




「幸せ?一生幸せにするのですか?」




「一瞬でも良いですよ、その人が幸せを感じて進むべき道が見えたなら、それが条件です」




「幸せに出来なかったら?」




「死ぬに決まってるじゃんwwバカじゃないの?」




流石に右側の子が失礼な事言う左側の子の肩を軽く叩く。




「とにかく余り時間がありません、それで良いですか?多少の支援はするつもりです。目覚めてから確認して下さい」




「あ、まだ色々質問が・・・」




「うっさいなー、贅沢ばっか言うなー」




2人の女の子が立ち上がり、背を向け暗闇に向かって歩き出す。その姿を見て絶句した。




おい・・・身体が腰から一つに繋がってる。イメージで言えば英語のYだ。わかる?




暗闇に彼女達が消えると目の前がふと真っ暗になり、ザワザワとした喧騒が耳をつん裂く。ガヤガヤと人の声が聞こえる。




ん?この人達の声、みんな日本語だそ??




再び目が醒める。




「大丈夫?」




しゃがみこんで俺を眺める女性。目の前にその子の真っ白いパンティが至近距離で目に飛び込んで来た。




ここタニヤはSiam(サイアム)近郊、昔のSiam王朝が統べた土地。胴体が繋がるシャム双生児と呼ばれる人達はSiam双生児とも言われ、Siam王朝では決して珍しく無い奇形として存在していたと言う。




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