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午後6時前。店の掃除を終え、改造人間とホームページの更新情報をカウンターでチェックしていた。




入り口はオープンにしているので、人影には気付かなかった。




「あなたはアワチ ケンさん?」




「え?」




入り口を見る。暑いにも関わらず、紺色のジャケットを着た初老の男性が立っていた。




「は、はい、そうですけど・・・」




「タイ首都圏警察、刑事課のソンポンです」




「警察??」




ニム達が一斉に振り返る。




「ええ、これが身分証明です」




警察手帳を見せてくる。急な事で身体が硬直してしまう、俺・・・




「そんなに固くならないで下さい。パスポートか身分証明を見せて頂けますか?」




ケンのパスポートは何処にあるのかわからないが、運転免許証は二階の部屋で見つけて、いつも財布に入れていた。




「免許証ですが、良いですか?」




冷や汗が流れる。な、何事??




「はい・・・・確認しました。実はですね、この写真の人を見た事はありませんか?」




ジャケットの内ポケットから一枚の写真を見せる。




「!?」




思わず絶句する。なんと・・・俺・・の写真。




いや、ヒロの写真だ。目を瞑って健やかな顔をしているが、肌は真っ白で生きている顔では無い。




「・・・・・・・」




「ケンさん?見覚えある方ですか?」




なんて答えるのがベストなのか。この人は俺です、なんて言っても意味ないし。




「い、いえ・・・この人は日本人ですか?」




「ええ、恐らく。ただ身元不明なんですよ。写真は出してませんが、ニュースでやってると思います」




た、確かに。俺も何か自分と関係してるんじゃ無いかなとは思っていた。つうか、俺やっぱり死んでたんだ・・・




「こ、この人がどうかしたんですか?」




振り絞って声を出す。




「タニヤ街で3ヶ月ほど前の3月に亡くなったのですが、後頭部に鈍器で殴られた跡がありまして・・・殺人事件として捜査をしてるんです」




は?鈍器で殴られた?・・・俺が?




「しかも遺体は身元不明なので、日本人だろうという事で捜査してるんです」




「で、なぜ僕に聞くんですか?」




「あなた、その時にタニヤ通りに居ましたよね?」




「え?記憶無いですが・・・」




「はっきり言いましょう。3月14日の午後10時頃ですよ。記憶ありませんか?」




記憶無いかって、そん時は俺、死んだ側だったし・・・




「あなたがね、その当時歩いていたって証言があるんですよ・・・」




「え?俺が歩いてた?」




「ええ、しかも物騒なもの持ってね」




「物騒なもの??」




「ええ、警棒ですよ」




「な、なんで・・・」




「いえ、あなたが何故警棒なんかを持ってたのか、聞きたいのはこちらなんですが・・」




「全く記憶に無いです・・・」




「そうですか・・・あと、あなたをタイ人女性が走って追っていたとの情報もありました」




「はぁ・・・」




「ま、いいですよ。あなたが最近アパート借りた事も、以前お金に困って方々の女性からお金を巻き上げてたって話も聞いています。被害届が出ていませんから、特に何するわけでもありませんけどね」




う、嫌な言い方する人だ。




「私はね、長年こういった事件と関わってるんですがね。あなたの表情を見ていると、写真を見た時以外はさほど動揺された感じは無いですよ。いつもなら初見である程度察知できるんですがねぇ・・・少し難しいケースです」




「俺は何もやましい事はして無いはずですが・・・」




「そうなんですよ。あなたを見るとそんな匂いが全然無い。でも、あなたの過去を調べると限りなくクロに近いんですよねぇ・・・不思議。別人にしか思えない・・・」




こ、この人鋭い・・・




「また伺いますので何か思い出したら連絡下さい」




そう言って俺に名刺を渡して去って行った。




「ヒロ、あの人警察でしょ?何だって?」




「うん、死んだ俺の事を調べてるんだって・・・」




「え?」




Pimの表情が青ざめる。




「どうしたんだい?」




長介やみんなが集まってくる。




「いやね、俺は元々別人で、死んで今のケンに乗り移ったって言ったろ?」




「ああ、あの世迷言か・・・」




「真面目に聞けよ!その前の俺がタニヤで死んだ理由を調べてて、俺を疑ってるみたいなんだ」




「は?あんたがあんたを殺したっての?」




「違う、前の俺をケンが殺したんじゃ無いかって・・・」




「ああああ、ややこしいね!」




そういう俺も訳わからない。




Pimは青ざめたまま、黙ったままだ。




一体あの時何があったのか。ケンは何をやったんだ・・・




痛っ・・・何故か突然、左腰の脇腹のキズがズキズキと痛み出した。




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