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「お姉ちゃん、おはよう!」




「う〜ん・・・おはよ・・」




「相変わらず朝弱いねww」




「ヒロは?ヒロいる?」




「何言ってんの!ヒロさんは朝から警察に行くって言ってたじゃん。お姉ちゃん、警察嫌いだから、珍しくついて行かないって自分で言った癖にww」




「うるさい!わかってるわよ」




「でもさ、お姉ちゃんって相変わらず男への依存心が高いって言うか・・・異常だよ?」




「・・・・」




「いっつも私のせいにしてるけどさ、実際は極度のヤキモチが原因で男と別れてるの私は知ってんの」




「ちがっ!そんな事な・・・」




「いや、違わない!いい加減、自分の心から逃げるのやめなよ!」




「チェンマイに居た頃だって、お姉ちゃん、相手の男を棒で叩いて怪我させてたでしょ?その前もそう。チンピラ雇って怪我させてたよね?」




「そんな事・・・してない・・」




「はぁ・・・このままじゃヒロさんだって危ないと思う。それにヒロさんの前の人、名前聞いてなかったけど、その人とはどうなったの?」




「知らない・・・言いたくない・・・」




「まさか、また何かしたとか?」




「ううん・・・言わない・・・」




「お姉ちゃん、病気だよ・・・」




「あんたは何もわかってないんだから、口出ししないでくれる?」




「それと、久々に会ったらお姉ちゃん、雰囲気も変わったよ。なにかに怯えてるみたい。私ら姉弟でしょ?何でも言ってよ・・」




ひとしきりの沈黙が流れる。




「・・・・ありがと、Mok・・・私ね・・・ケンを刺したの・・・」




「え?ケンって誰?前の人?」




「うん、今はヒロなんだけど・・・」




「今はヒロって・・・話が見えないよ!なにそれ・・」




「私ね、こっちでケンに騙されたの。ケンは隠れてNokと付き合ってた・・・私はケンに毎月お金を渡して・・・」




「え?幾ら?」




「50000バーツ」




「えええ!そんな大金どうやって・・・」




「カラオケとクスリ・・・」




「クスリって・・・こっちでまだやってたのかよ!ふざけんな!」




Mokは我を忘れて男に戻り、Pimの頬を叩く。泣き崩れるPim。




「だって!だって!苦しかったんだもん・・」




「ヒロさんは凄くいい人だぞ!今までのPimの男達とは全然違う!」




「わかってるよ・・・ケンが死んで、生き返ったら全く違う人になってた・・・」




「生き返った?それがヒロさんて事?」




「うん・・・私もケンを殺すつもりはなかった。でも頭の中で刺せって声が・・」




「声?誰の?」




「この人を殺せって声と、殺したら別人として生まれ変わるから助けてあげてくれって・・」




「意味わからないよ。誰が言ったの?」




「頭が2つある女の子・・・」




「何それ・・・お姉ちゃん、ちゃんと医者で治療した方がいいよ・・・クスリやり過ぎだって・・・」




「クスリはヒロとママが辞めさせてくれたの。それにクスリは使うよりも友達に売ってたのよ・・・」




「え!クスリって・・・誰から?」




「・・・ケン・・・私にはクスリをやらせて、売らせて、好きなだけ抱いて、それでも信じてた・・・あの日まで・・」




「え?あの日?」




「うん、ケンを刺す1日前の昼間・・・タニヤのフィシュスパの横。そこでケンを見たの・・・Nokと一緒に居て、彼女からもお金の入った封筒を受け取ってた・・そして何か物凄く怒ってた「やつを見たら殺す」とか」




「うん」




「ケンはお金を持って直ぐにどこかに行った。私は彼の家も教えてもらってないし、電話も出ない。メールも返事が来なくなってた」




「次の日の夜、客引きしてたらケンを見たの。棒きれを持って歩いている所を・・私は怒りが止められなくなって、彼を追いかけた」




「ケンは何しようとしたの?」




「ベンチで座りながら、うつ向いていた人をいきなり棒で殴った。Nokに手を出すなとか言って・・・




「私は、それを見て逆上した。Nokの為ならそこまでするのに・・・何故?って・・そしてバッグから果物ナイフで彼を後ろから刺したの・・・」




「お姉ちゃん・・・ヤバイよそれ・・」




「だってその時、声が聞こえて身体が自然にそうするのよ!」




「そんな事って・・・」




「刺した瞬間、周りが真っ暗になってロウソクの灯りしか見えない場所になってた・・」




「そして2人の女の子が私に言うの・・この人は別人になるから助けろって・・」




「誰?その女の子は」




「たぶん神様・・・頭が2つの・・・」




「んなバカな・・・」




「お姉ちゃん、そんな刺した人と、よく恋人で居られるね・・・異常だよ・・」




「だって今は私だけのものなんだよ?私をむやみに抱こうとはしない、凄く大事に扱ってくれる。今、凄く幸せなの・・・」




「でもさ、心に「蟠り」がある以上、ヒロさんとは本当の意味で結ばれないと思う」




「じゃあ、どうすればいいって言うのよ!」




「ヒロさんと一度向き合って全てを話してからだと思う・・・」




「ヒロを失っちゃう・・よ・・」




「お姉ちゃん、これだけはどんなにタンブンしたって救われないよ?」




「わかってるよ・・・そんなのわかってる!」




「とにかく、私も付いてるから正直に話そうよ・・・」




「う・・・うん・・・」




俺がティエムの横で必死で拝んでいる時に、そんな会話があったとは・・・




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