今、韓国をホワイト国から外すと言った報道で溢れてます。驚いたのは韓国の大統領の言葉「盗っ人猛々しい」と日本を揶揄した事でした。


 一国のトップがそんな言葉を使うなんて……。


 詳しい事情はわかりませんが、早く関係改善をして欲しいと思いました。


         §


 イベントが終わり、舞台の片付けをするスタッフ達は残り、ダンサー達は直ぐに帰宅の途につく。集合した場所に降ろされた俺とIは停めていたバイクに乗ってホテルへ。シャワーを浴びて直ぐに就寝。ブンブンはお互い疲れて求める事は無かった。


 翌日の朝。Iは病院へ通っていたらしく、一緒に通院に付き合う事になった。背中が原因不明で痛むのだと言う。


 医者に付き合う意味はわかってる。 しかし、健康保険が無いこの国の治療相場を知らない俺は、Iを待っている間も気が気ではなかった。手持ちが足りない場合にカードは使えるのだろうか。なんて事を考える。


 結果的に500B程度だったので事なきを得た。思ったよりもかなり安かったので安心した。


 帰りにIの家に寄ると、隣で宴会が行われている。なんか毎日やってるな、この家。当たり前のようにIに連れられ、その宴会に合流。


 メンツは昨日のイベント会社、社長夫婦とスタッフ達。この家との繋がりがよく分からない。髪を後ろに縛った兄ちゃん達とは毎日ここで一緒に飲んでる気がするww


 社長夫婦がカラオケを準備してきていて、タイソングを皆が順番に歌っていた。


 レオビールを飲みながら、歌の手拍子や拍手なんかをして仲間に入れてもらえるよう気をつかう。

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中々豪華な家庭料理。辛く無いのも沢山あって美味しかった。向かいの女性はスタッフの兄ちゃんの嫁だと思われる。



「さて、seven君。歌ってもらおうか……」


 社長がデジカメをビデオモードにしながらマイクを俺に渡す。なんかそんな感じしてたんだよね。嫌な臭いがプンプンしてた。


「僕はタイの歌知らないですよ」

「sevenは『コンチャイガイ』歌えるでしょ?」


 突然、Iが横から口を出す。お、お前が黒幕なのか!!


「もう忘れたし……」


 この歌は昨年の八月に訪泰した際、I達に連れていかれたホストクラブで歌詞を見ながら歌った曲だ。あの日は飲み過ぎてIの友達の家でゲロゲロになり、友達のベッドで朝方まで寝かされていたと言う、俺のタイ黒歴史の1つだった。



 む。なんか聞いた事ある前奏。



『チャッチャララ♪チャッチャッチャララ♪フゥ!
チャッチャララ♪チャッチャッチャララ♪フゥ!』


 おいジジイ(社長) !!勝手に音楽掛けてんじゃねぇ!


 急いでアイフォンで歌詞を探す。もうやるしか無いのだ。ギャラリー達の視線が痛い。痛すぎる。

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このメモは聞いた歌の言葉を似た日本語にして書いたsevenオリジナル歌詞なのだ。タイ人レディ達とのコミニュケーションの為だったのだが再びここで使う事になるとは……



 タイ人の皆様。お見苦しいタイソング、大変失礼いたしました。歌い終わった後の生暖かい視線と引きつった笑顔。私は一生忘れないでしょう……。


 頑張ったよseven。うん、頑張った。完全アウェイのこの地で良くやった!お前は英雄だ。日本を代表して頑張った。


 宴会もすっかりと夕方になる。結構飲んだし、食べた。Iのお袋さんが仕事に出掛けた。一体、こんな田舎の夜になんの仕事をしてるのだろう。まさか、ホステスとか、GoGoとかじゃ無いよな。この地にそんな店は無いはずだが。


 俺はお腹一杯だったが、Iが腹減ったと言うのでバイクで飯を食いに出た。いちいち店に行くのにバイクで30分とかきつい。病院なんか片道一時間。ケツが痛くなったもん。


 食堂に入るとビールとガパオの辛子抜きを注文。Iはカオパットとコーラ、酸っぱい炒めものと焼き豚みたいなものを頼む。どれも一品30Bとか、高くて60Bだ。客は俺達と、もう一組若いカップルが鍋を食べている。


「ラストオーダーだけど追加ある?」


 女将らしき女性が聞いてきた。勿論追加は無しだ。


 ん?ラストオーダー?もうそんな時間か?


「っておい!まだ夜7時過ぎだろ!!」
 
「こっちの店は終わるのが早いの!」

「いくらなんでも早過ぎないか?」

「この時間だともう誰も来ない。普通、ご飯は家で食べるし、食べ終える時間を随分と超えてるしね」


 田舎の時間は全てが早い。昔の日本のようだ。


 ホテルに帰るとIはシャワーを浴びて直ぐに寝てしまう。とにかく、何かするでもTVを見るでもなく、ひたすら寝る。今思うと、少し様子が変だったのかもしれない。


 ベッドの横で寝ているIを見ながら考える。確かに昼間はずっと一緒に居るし、家族や友達達とも交流させてくれて信頼されている気がする。


 でも二人きりになると、素っ気なく寝てしまう。彼女はsevenを内心、どう思っているのだろう。聞けば勿論「恋人だよ」と答えてくれるに違いない。


 でも、何かが違う。互いの話をしないし、聞いても来ない。身体を求める事もないし、束縛もない。


 周りから見たら俺達はカップルそのものだと思う。そのようにIも振舞っている。でも……。



俺はこの日、暫く寝られなかった。